史研究叢書B
洋学受容と地方の近代
―津軽東奥義塾を中心に―

北原 かな子著

(秋田桂城短期大学非常勤講師/
1959年生まれ)


2002年2月刊 A5判・318頁・上製本・函入
ISBN4-87294-233-7 6400円
「文明開化の風潮の中、日本では多くのお雇い外国人を雇用し、西洋文化摂取によって近代化を成し遂げようとした。近代化の過程とはすなわち中央集権体制の確立過程でもあり、一般に文化は中央から地方へと伝わっていったと思われがちである。しかし本書において述べるように、実際には、官の援助を受けずに独自の文化受容によって近代化を成し遂げようとした地方も存在した。本書の中で明らかにする津軽地方東奥義塾の例は、本州最北端に位置しているにもかかわらず独自の文化受容に取り組み、それによって明治のきわめて早い時期からアメリカ・インディアナ州との地方レベルでの国際交流が存在していたこと、(中略)を示してくれるのである。」 (本書「序」より)
 明治5年の東奥義塾開学から、津軽家の補助を失った明治16年までの時期を対象として、新発掘の在米英文資料や、東奥義塾所蔵資料を駆使し、同校の洋学受容過程を解明する。
 日本学術振興会 平成13年度 科学研究費補助金「研究成果公開促進費」交付図書。
【主要目次】
第1章  東奥義塾開学
(沿革関連資料の検討/弘前漢英学校から東奥義塾へ/中心的役割を担った人々/開学時の学校体制/開学時の青森県教育体制/開学時東奥義塾の性格)
第2章 東奥義塾の洋学(1)―ジョン・イング着任まで―
(ウォルフ夫妻とマックレー/ジョン・イングと本多庸一)
第3章 東奥義塾の洋学(2)―ジョン・イングの貢献―
(イングの教授内容/「文学社会」/キリスト教の普及/女子教育/イング離職後の外国人教師/義塾弾圧と弘前事件)
第4章 津軽地方初の海外留学生たち
(津軽地方初の米国留学/インディアナ・アズベリー大学での東奥義塾生たち/最初の留学生たちの帰国後と第2期米国留学生たち/留学 生たちが立証した草創期東奥義塾の水準)
第5章 アーサー・C.マックレーの活動
(マックレーの『日本からの書簡集』/マックレーと東奥義塾/マックレーの再評価)
(その後の東奥義塾/明治期津軽地方における洋学受容過程のまとめ)
巻末資料(東奥義塾所蔵明治期洋書調査報告/英文資料)
主要参考資料・文献(和書の部/洋書の部)
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