藩地域論の可能性
信濃国松代藩地域の研究Z

渡辺( わたなべ) 尚志(たかし)
(一橋大学名誉教授/1957年生まれ)


2023年7月刊
A5判・340頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-156-0 C3321
7800円 (税別)
「本書は、私がこれまで20年近く継続してきた松代藩地域の共同研究について、現時点における私なりの中間まとめを行なうことを目的とする。(中略)
 以上の構想を踏まえて、われわれはこれまで六冊の論文集を刊行してきた。本書では、その成果を整理することを通じて、今後の藩地域研究展開の方向性について考える足掛かりを得たい。
 本書は、二部構成をとる。第一部では、松代藩地域を概観するとともに、今日に至る共同研究の軌跡を振り返り、これまでの藩地域研究で得られた主要な論点を整理して提示する。それによって、藩地域研究の成果や独自性を明確にしたい。なお第三章には、藩研究に関する重要な研究書についての書評を収めた。書評対象の中心は、熊本藩研究である。
 第二部には、共同研究のなかで私が発表してきた論考五本を、一部修正したうえで再録した。藩地域論の方法的特徴の一つに争論・訴訟・裁判への着目があるが、第二部の各章はいずれも争論・訴訟・裁判の具体的事例を追究したものである。」(「まえがき」より)
【主要目次】
*は、松代論集より再録  ※は、渡辺『近世の村落と地域社会』(塙書房、2007年)にも再録

第一部 松代藩地域研究の成果と論点
第一章 松代藩地域の概観と共同研究の軌跡(新稿)
第二章 松代藩地域研究が提示した論点(新稿)
第三章 他藩の研究成果と向き合う(一部新稿)

第二部 争論・訴訟・裁判からみた藩地域
第一章 入会地開発訴訟にみる村と領主 *
第二章 大名家文書のなかの「村方文書」*※
第三章 村方騒動からみた領主と百姓 *※
第四章 割地をめぐる訴訟からみた近世社会の特質
第五章 明治二〜三年における松代藩の事件処理過程 *
     −市村での藩士の乱暴事件を素材に−
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【既刊】信濃国松代藩地域の研究 (価格は税別)
T藩地域の構造と変容    渡辺編       8400円 2005.07
U藩地域の政策主体と藩政  渡辺・小関悠一郎編 7900円 2008.07
V近世後期大名家の領政機構 渡辺・荒武賢一朗編 6900円 2011.05
W藩地域の農政と学問・金融 渡辺・福澤徹三編  5400円 2014.04
X藩地域の村社会と藩政   渡辺編       8400円 2017.11
Y藩地域の環境と藩政    渡辺・鈴木直樹編  7900円 2020.12

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