近世後期大名家の領政機構
−信濃国松代藩地域の研究V−

荒武賢一朗・渡辺尚志 編

2011年5月刊
A5判・300頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-695-6 C3021
6900円 (税別)
「第二編は、大きな枠組みとして、以下の目標を持って個々の課題に取り組んだものである。第一は、近世後期から明治初年における領政機構の実像を徹底的に分析することである。これは、すべての機構をとらえることが難しいものの、当該期の財政、出先機関、軍事、そして領政機構廃止後の状況といった特徴的でしかも重要なところを中心に据えた。
 第二は、「ヒト」に注目することを心がけた。ここでは 当然ながら真田家の家臣たち、つまり行政を担う役人たちが取り上げられることになったが、誰が政治・政策を動かしていたのかという本質的な課題に迫ったものである。その結果、各方面で実働していた役人たち、あるいは職人たち、そして議員たちの動きが明らかとなった。一方で、財政のように、一体誰が動かしていたのかが不明だったという事実もこの大きな成果のなかに含めている。
 この二点の目標は、松代真田家研究にとっても有益であろうと考えているし、さらには近世後期における大名家研究が浮上する足がかりになると 認識している。ここでは「藩」、具体的には「外様中藩」のモデルとしての位置づけを持ち、他の地域との相互乗り入れとなる議論の礎になればと願っている。」(序章より)
【主要目次】
序章 本書の研究視角と近世大名家研究への展望 荒武賢一朗
第1編 文化・文政期における在地支配と金融  
第1章 文化・文政期の松代藩の在地支配構造
−郡方支配の藩政機構分析と難渋村対策を中心に−
福澤 徹三
第2章 松代藩御用商人八田家の金融
−文化・文政期を中心に−
大橋 毅顕
第2編 近世後期〜明治初年における領政機構の実像  
第3章 藩財政は「窮乏」していたのか 伊藤 昭弘
第4章 在坂役人の活動と蔵屋敷問題
−幕末維新期の混乱とその特質−
荒武賢一朗
第5章 近世後期における武具政策の展開 神谷大介
荒武賢一朗
第6章 海防における銃砲配備問題と武具方
神谷 大介
第7章 明治四年の藩議院と議員の活動について
今村 直樹
終章   渡辺 尚志
【既刊】
藩地域の構造と変容(信濃国松代藩地域の研究T)2005年刊 8400円(税別)
藩地域の政策主体と藩政(信濃国松代藩地域の研究U)2008年刊 7900円(税別)

ご注文へTOPEへ