藩地域の構造と変容
信濃国松代藩地域の研究

渡辺 尚志 編
(一橋大学教授/1957年生まれ)

2005年7月刊
A5判・380頁・上製本・函入

ISBN4-87294-389-9
8400円

 本書は、信濃国松代藩(真田家)領をフィールドに、一橋大学の大学院生を中心とした共同研究の成果である。
岡山藩研究会(代表:深谷克己)編『藩世界の意識と関係』(2000年 小社刊)が提示した概 念に学びつつ、本書では、その核心的なテーマとして、訴訟をめぐる藩当局と領民との関係性の問題を選択した。
近年の身分的周縁論の盛行をふまえて、今あらためて武士―百姓関係という近世身分制の骨格を形成する問題を、訴訟の場への着目という新たな視角から再検討することが重要だと考えたからである。それを軸に、家臣団の内部構造、身分論・集団論、藩における学問・思想状況などの重要課題の分析を加えることによって、豊かな肉付けを図った。

【主要目次】

序 章 渡辺 尚志

第1編 訴訟にみる藩地域の特質
第1章 大名家文書の中の「村方」文書 渡辺 尚志
第2章 村方騒動からみた領主と百姓 渡辺 尚志
第3章 近世後期における領主支配と裁判
     ―下真嶋村寅吉不法田畑譲渡一件を事例に―
野尻 泰弘
第4章 近世後期松代藩の村役人と処罰
     ―福嶋村沖八差紙不出頭問題をてがかりに―
重田 麻紀
第5章 文化・文政期の松代藩と代官所役人の関係 福澤 徹三
第6章 松代藩領下の役代と地主・村落 小酒井大悟
第7章 松代藩領の盲人
     ―弘化三午年東寺尾村飴屋兵助女子一件―
山田 耕太

第2編 藩地域の多彩な展開
第8章 元禄・享保期松代藩の家中意識
     ―落合保考を中心に―
綱川 歩美
第9章 宝暦期松代藩における学問奨励
     ―菊池南陽と小松成章を中心に―
小関悠一郎
第10章 大名家を継ぐ―松代藩の家中騒動と養子相続 佐藤 宏之
松代藩関係文献目録 小関悠一郎

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