「2005年以降、「藩地域論」として3冊の論集が刊行された(いずれも岩田書院刊)。第T集は裁判を、第U集は政策主体を、第V集は領政機構をテーマに掲げてきた。本書第W集では中核的テーマとして、農政・学問・金融の3つを取り上げた。(中略)
第3集と共通する領政(農政)機構分析が進んだからこそ、領政機構と地域社会双方に影響を与える、浸潤する学問と、金融市場の分析が課題として浮かび上がった。そして、これらを一言でまとめるとすれば、ダイナミズムという用語が適切であろう。いずれの論者にも共通していたのは、歴史を動かす要因をもとに、ダイナミックにその過程を明らかにすることだと私は理解している。」
(福澤「序章」より) |