本書を「神と巫女の古代伝承論」と題したが、意図したところは、文学として自覚される以前の言語世界と神を軸とした古代日本人の世界観の解明である。……発生段階の文学とそれを支える世界観の中心に存在するのは神であり、その神を迎える巫女であった。この神と巫女が登場する場こそ祭祀の空間であり、この日常とは異なった特殊な聖空間で演じられた芸能と言語こそ、日本の文学と芸能の胎生と生成の場となったのである。もとよりこれは折口信夫の文学の信仰起源説であるが、本書もまたこの信仰起源説を基底に据えている。古代文学は、いったいどのような時空の中で胚胎し生成されてきたのか。この文学生成をめぐっての神観念と世界観を思考し考察し続けた結果が本書である。 (序より) |
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【主要目次】 |
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第1部 |
南島の神話とシャーマニズム |
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神を抱くツカサの生活―沖縄八重山の事例から/籠もりと雨乞い―神婚譚生成の基層/南島の神話生成と巫女のことば/石垣島川平の神と信仰/南島の神と他界 |
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第2部 |
巫女と古代王権 |
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巫祝の家の兄妹/神婚幻想と斎宮伝承/采女―変容する伝統(上・下) |
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第3部 |
神の誕生・罪の始源 |
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兄と妹―習俗と神話の構造/天孫神話の誕生/降霊と示現―古代語を読む/罪の発生/罪の始源/乞食考―霊異記説話の形成/海の行幸と留守官の歌 |
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第4部 |
神楽と再生 |
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奥三河の花祭/生まれ清まりと浄土入り―奥三河の大神楽/神楽歌の構造/遊部の伝承と「凶癘魂」 |
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第5部 |
折口学の成立 |
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まれびとの成立/まれびと論成立以前/折口信夫の沖縄採訪/青年折口信夫の精神的遍歴/折口信夫と北野博美 |
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第6部 |
折口名彙の生成 |
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精霊/あまつつみ/みそぎ・はらへ |
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