白山・立山の宗教文化

由谷 裕哉 著
(小松短期大学准教授/1955年生まれ)


2008年12月刊
A5判・344頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-537-9 C3014
7400円 (税別)
「第一に、中央の修験道が形成されてゆくことと相即的に、それ以外の霊山に依拠していた山林修行者がその体制に組み込まれる、すなわち地方霊山における組織化が始まるとするなら、それ以前を問題とする観点である。地方霊山におけるそうした組織の成立に伴うものとして開山伝承があると考えられる所から、開山以前という位置づけでその対象を設定したく思う。この対象事例として、本書では北陸の霊山・立山に関して摂関期から院政期にかけて知られるようになる地獄説話をとりあげることにしたい(第一部)。
 第二に、開山以降、すなわち地方の霊山において一山組織が成立して以降を課題としたい。これについては、筆者が旧著(『白山・石動修験の宗教民俗学的研究』1994年、岩田書院)でもとりあげた白山につき、とくに加賀側の宗教的拠点であった本宮に伝承された文献資料を中心として、中世の中頃(14世紀)から近世までを対象としたい。主要なテーマとしては、その組織において中心を占めていた長吏と衆徒、そしてとくに近世以降に勢力を増す社家との相剋などが、設定されるであろう(第二部)。」(本書より)
【主要目次】
  
序 論 地方霊山の位置づけと研究視角
第1部 立山の地獄説話と開山伝承
 第1章 立山の宗教文化と地獄説話:概観
 第2章 『法華験記』に描かれた立山地獄説話:立山開山伝承と比較して
 第3章 『今昔物語集』巻十七における立山地獄説話とその中世的展開
 第4章 中央と地方霊山における本地説と開山伝承
第2部 白山加賀側の長吏・衆徒・社家
 第1章 14世紀から15世紀前半までの白山加賀側の衆徒
 第2章 一揆時代における加賀白山:本宮とその長吏を中心とした概観
 第3章 一揆時代の加賀白山を巡る五つの宗教的テキストについて
 第4章 一揆時代後半における三代の白山本宮長吏について・再考
 第5章 近世下白山における長吏と社家との関係
結 論 成果と課題
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