ダンナドン信仰
―薩摩修験と隠れ念仏の地域民俗学的研究―


森田 清美 著
(鹿児島実業高校教諭/1939年生まれ)

2001年5月刊
A5判・364頁・上製本・函入り
ISBN4-87294-208-6
7900円


 「鹿児島県串木野市の西北に位置する集落には、ダンナドン(檀那殿)信仰が残っている。ダンナドンとは、テラ(寺)、あるいはウチデラ(内寺)ともいわれ、葬送・滅罪儀礼、追善供養を行う菩提寺のことである。それに、御神体であるオヤサマ(御祖様)を指すこともある。そこには、いわゆる山岳信仰の流れを汲む「隠れガン(神)」と呼称される「隠れの阿弥陀」信仰が、古くから伝承されているのである。
 これは葬送儀礼を中心として展開されるもので、仏教の浄土教思想の影響を強く受けながらも、極めて呪術性の強い、現世利益の色彩の濃い宗教である。それは、古来の日本人の死霊に対する恐怖観に根ざしたもので、誦経力に優れた司祭者としてのトナイモン (年の者)と呼ばれる古老と、地神盲僧、巫女の三者が、鎮魂・滅罪儀礼において、それぞれの役割を持ち、三者の機能が複雑に錯綜しながら村社会での宗教生活が繰り広げられる。
 …筆者は、この地区に六年間住みつき、…「隠れガン(神)」であるダンナドンの秘儀の存在を、幸いにも秘かに教えてもらうことが出来たのである。」 (本書「はじめに」より)


【主要目次】

序 論
第1章 研究の課題と方法
第2章 「ダンナドン信仰」関係の研究史

本 論
第1章 荒川・羽島地区の概況
第2章 屋敷と族縁関係
第3章 「ダンナドン」の歴史と活動
第4章 「ダンナドン」の機能
第5章 「ダンナドン」の司祭者「トナイモン」の継承について
第6章 「ダンナドン」の「トナイモン」、巫女、地神盲僧との関係

結 論
「ダンナドン」の口伝経文関係資料



ご注文へ