No.146 1999年6月
【出版助成金の話し(3)】
 出版助成金については、この裏だよりでも2回書いている(No11,27)。小社でも毎年、文部省の出版助成金(刊行成果公開促進費)の申請をしている(正確には、申請するのは著者だが)。今年平成11年度の交付の内定が5月にでた。岩田書院は5件申請、4件内定、1件補欠、という成績(?)である。今回は、学位論文2件、科学研究費の研究成果1件、不定期に刊行する二次刊行物の2冊目1件、その他1件、という内訳で、かなりの程度、採択されると予想していた。結果は、学位論文1件が補欠に回ってしまっただけで、あとは全て採択。採択件数では8割だが、助成金額は、申請額の約5割である。
 この助成率(助成額÷申請額)について、東京大学出版会のPR誌『UP』が自社の例をあげ、「94年度を境に助成率水準がガタンと落ちた」と書いている。以下は東大出版会の例である(『UP』304号 98.2)。

 1988年:申請件数12件/採択件数8点/助成率77.6%(以下同様の順に記す)
 1989年:11/7/87.1  1990年:12/6/92.7  1991年:15/12/91.8
 1992年:13/13/97.0  1993年:11/10/91.0  1994年:11/10/61.9
 1995年:9/8/57.0  1996年:8/6/51.2  1997年:10/9/54.5

 岩田書院の場合は93年度からの実績だが、その時点ですでに助成率64%である。岩田書院では、助成率は50%であたりまえ、採択率こそが問題なのである。そこで、岩田書院の採択率を出そうとしたのだが、採択された件数はわかっても、申請した件数がわからなくて過去に遡れない。しかし少なくとも、過去数年は採択率は約5割である。上記の東大出版会の採択率が約9割であるのに較べると、その差は歴然としている。
  でも、5割だろうが何割だろうが、もらえればうれしい。だから、今年はうれしい。

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