No.27 1995年5月
【出版助成金について(2)】
 新刊ニュースの裏だよりNo.11で、助成金のことについて書いたが、その中で研究費の助成もふくめた一覧があると便利なのだが、と記した。その一覧があることをあとになって知った。その名は『助成団体要覧−民間助成金ガイド1994』(隔年刊、第一法規出版、4800円)です。これには492団体が掲載されている。その内容は、助成・奨学・表彰など多岐にわたる。出版助成としては、日本生命財団・トヨタ財団・国際交流基金など、人文社会科学系だけで約50件あげられている。
 最近は、専門書の出版事情が悪いことが理解されて(というより、私がいつも言っているせいもあるのでしょうが)、著者みずから本を買い上げてくださるケースが多いのですが、しかしその場合は、一番本を買いそうな人のところへ献本でまわって、その後の売れ足がにぶくなるという一面もあります(だからと言って、買い上げは要らないと言っているわけではありませんので、念のため)。  ところで、東大出版会の1993年の例を見ると、年間120点の新刊に対して、和書の20%と英文書のほとんどが、なんらかの出版助成金・補助金を得ているとのこと(『UP』260号、東大出版会、94.6)。これは、かなりの高率だと思うのですが…。
 ことのついでに書いてしまうが、東大出版会の昨年(1994)夏のボーナスは単純組合平均130万円とのこと(『出版ニュース』94.8.上)。岩田書院なら、ひとり分のボーナスでB6判の本が1冊できてしまう。ボーナスを払えるというのは、企業努力の結果であって、とやかく言う筋合いではないのだが、でも誰かに言ってしまいたかった。
     
  東大出版会をひきあいにだしてしまったが、これは、ボーナスもだせないもののヒガミだと思って御勘弁ください。

 ※ 出版助成金の話し(3)はNo146

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