No.11 1994年1月
【出版助成金について(1)】
 学術専門書の出版事情が悪くなっているため、その出版費用を助成してくれるところがいくつかあります。大きく分けると、文部省、企業(または財団)、学校、というあたりでしょうか。研究費の助成もふくめた一覧があると便利なのですが、誰か作ってくれませんかね。
 今回はそのうち、代表的な文部省の出版助成金の話を少し書いてみます。
 正式には「科学研究費補助金研究成果公開促進費」という名称で、一般学術図書、及び不期に刊行する二次刊行物、に分けられます。
 申請の時期は毎年12月の初旬で、翌年6月頃に決定し、翌翌年の2月までに出版しなければなりません。これは著者が申請をして、助成金も著者に支払われます。出版社は見積りをして、著者から助成金をもらい、その領収証を著者が文部省に提出するという形をとります。申請時に原稿が完成していることが条件ですが、実際にみせるわけではなく、途中経過も文書による報告ですみます。
 発行部数は300〜500部が一般的。1000部、2000部で申請できなくはないのですが、売れそうもないから助成するのであって、2000部もつくるくらいなら、助成する必要なし、ということになってしまいます。
 そして、申請額の全額が支払われるのではなくて、5〜3割が補助されます。また卸売価格が原価を下回らないこと、定価は原価の2倍を超えないこと、など、いくつかの条件もあります。
 その他、申請にあたってのテクニックのようなものがあるのですが、いろいろさしさわりがあるので、ひとまず終わりにしておきます。
     
  おかげさまで岩田書院は、創立以来3年連続計4点の本が出版助成をうけています。小社の場合は、刊行した本に対する助成というよりは、そういう本をだしている出版社に対する助成、という意味合いが強くなります。もっと正確にいうと、我が家の生活費にたいする助成です。「助成金について(2)」は、No27

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