士族授産と茨城の開墾事業
茨城大学 五浦美術文化研究所 五浦歴史叢書5


桐原 邦夫 著
(元茨城県史編さん室員/1933年生まれ)

2010年6月刊
ISBN978-4-87294-626-0 C1321
B6判・178頁・並製本・カバー装

1800円
明治前期の秩禄処分と、士族授産としての茨城の開墾事業について考察。
「士族授産事業としての開墾は、明治前期の開墾事業を特徴づけるものであったが、この事業を明治政府は士族の救済政策という消極的な政策としてだけでなく、より積極的に士族を近代化の担い手としても期待し、開拓政策の展開にさいして士族の動向に特別の配慮を払っているのである。だから、士族授産としての士族開墾事業を、単に士族の救済政策としてではなく、より積極的に明治国家が資本主義化のために「上から」の資金創出政策の一環として遂行された政策であった、と理解すべきである。」(本書「序章」より)
【主要目次】
  
序 章 本書の視点と構成
第1編 秩禄処分と士族授産政策
第1章 秩禄処分の実施
      秩禄改革による家禄の削減
      大蔵省による禄制の廃止
      金禄公債証書発行条例の公布
第2章 水戸藩の秩禄処分と授産政策
      茨城県内「旧藩士族の景況」
      秩禄処分の実施
      開墾義社と特別官林組合
      復籍士族と再興士族
第3章 麻生藩の秩禄処分と授産政策
      家禄の削減の問題
      郷足軽の処遇
      賜邸制の実施
      復禄請求請願とその結果
      行政裁判所への提訴
第2編 士族開墾事業の展開
第4章 明治政府の開墾政策
      民部省開墾局による開墾政策
      大蔵省による開墾政策
第5章 茨城県内の士族開墾事業の概観
      石川強と勧業試験場
      桃林舎
      就産社
      土田農場
      阿見原開墾
      鈴木農場
      弘農社
      波東農社
      君島村開墾地
      樹藝社
第6章 弘農社の士族開墾事業
      開墾計画を立案推進した人びと
      弘農社の組織の概要
      開墾資金調達等をめぐる問題
      三好琢磨の社長就任
      資金調達の改善
      開墾地内の入会秣場をめぐる紛争
      開墾事業計画
      事業の推移
第7章 波東農社の士族開墾事業
      官有地での開墾事業
      舟木真の経歴
      波東農社の結成
      開墾事業の推移
終 章 士族開墾事業の歴史的意義
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