前書『近世国家の権力構造』(岩田書院、2003)の成果をもとに、本書では、空間軸と時間軸の視覚から、近世の公文書システムが、国家・社会を列島規模で集中・統合し、社会の均質化・同質化を進める過程を明らかにすることを目指している。この作業を通じて、日本近世を国民国家形成過程として捉える視覚・方法を提示するとともに、これら公文書システムを支える近世の公共性や、公共圏の成立・発展の実態に迫る視覚・方法も提示する。
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【主要目次】 |
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第1章 |
幕府代官所における公文書行政の成立とその継続的経営 |
三野 行徳 |
第2章 |
江戸廻り地域の成立と公文書行政−屋敷改の成立と作成帳面 |
山端 穂 |
第3章 |
大名改易における藩領処理−城引き渡し時の文書作成 |
佐藤 宏之 |
第4章 |
近世百姓印と村の公文書 |
千葉真由美 |
第5章 |
大岡忠相とアーカイブズ政策 |
大石 学 |
第6章 |
加賀藩の朝鮮人御用と公文書−越中国砺波郡十村家川合文書「朝鮮人御用馬留帳」の分析から−
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横山 恭子 |
第7章 |
用水組合運営と公文書−吉野川第拾関分水の用水組合「井組」を事例に−
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山口真実子 |
第8章 |
甲府町年寄の由緒と将軍年始参上 |
望月 良親 |
第9章 |
御三卿一橋徳川家の関東領知役所における「伺書」−現用文書と非現用文書−
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竹村 誠 |
第10章 |
武蔵国一宮氷川神社の代替御礼例書に関する一考察 |
古谷 香絵 |
第11章 |
近世における太政官印再興の歴史的意義 |
野村 玄 |
第12章 |
茶壺道中と数寄屋坊主−「菟道青表紙図彙」の作成を事例に− |
大嶋 陽一 |
第13章 |
旗本家の知行所支配行政の実現と「在役」−1500石牧野家を事例に− |
野本 禎司 |
第14章 |
村落・地域社会の知的力量と「村の編纂物」−村役人層の主体形成と村方文書共有ネットワーク− |
工藤 航平 |
終章 |
方法としての近世公文書論 |
三野・佐藤・野本・竹村・工藤 |
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