近代日本における転換期の思想
  地域と物語論からの視点
近代史研究叢書L

菅谷 務 著
(茨城大学非常勤講師/1950年生まれ)

2007年1月刊
A5判・286頁・上製本・函入
ISBN4-87294-452-5
6900円 (税別)
「本書は、外圧による体制の危機が叫ばれるようになった近世後期から、太平洋戦争が終結する昭和戦前期頃までに、水戸藩および茨城県域に見られた危機意識の在り方と、その中における人間の行動について考察したものである。…
 本書において国家主義的な人物とその思想を中心に取り上げたのは、近代国家がそれまでの宗教に代わる存在として登場したことによって、そのなか で人々は、国家を心情面を含めた自己の存在根拠として生きなければならなくなったことであり、そのことを典型的に体現しているタイプが、いわゆる「(超) 国家主義者」と呼ばれる人々であったからである。…
 第1編では会沢正志斎・加波山事件グループ・峰間信吉、第2編で血盟団のメンバー・橘孝三郎を取り上げたのは、日本近代というスパンのなかで 人々の存在を規定してきた国家というものが、彼らの実存をとおして見た場合、どのようなかたちとなって立ち現れてきたかということを、グローバル化がすす み、国家と人々との関係があらたに問い直されている今、再度確認しておく必要を感じたからである。」(本書「序章」より)
【収録内容】 
第1編 「国体論」から「国民国家」へ −加波山事件前後−
第1章 『新論』における国体論の位相 −転換期の言説−
第2章 思想的事件としての加波山事件
第3章 峰間信吉と南北朝正閏問題     −ある教育者が生きた「国民国家」という物語−
第2編 「国家」と「超国家」とのあいだ −血盟団と農本主義−
第4章 血盟団と五・一五事件の思想史
第5章 橘孝三郎に見る時代と煩悶 −受験と神経症の時代−
第6章 橘孝三郎に見る農本主義思想の位相− 聖なる「農」という「物語」−
第7章 橘孝三郎に見る超国家主義思想の位相
      −「マゴコロ」と「アラヒトガミ」による人類の救済へ−

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