産業近代化と民衆の生活基盤
近代史研究叢書I

斎藤 康彦 著(山梨大学教授/1947年生まれ)

2005年10月刊・A5判・392頁・上製本・函入
ISBN4-87294-407-0
8800円
産業革命で生じた地域経済の変化を、就業構造と所得構造の検討を通じて析出する。
「産業発達にともなう地域社会の変容過程を復元した『地方産業の展開と地域編成』(多賀出版 1998)、産業発展の過程でみられた転換点における産業人の活動を具体的に追究した『転換期の在来産業と地方財閥』(岩田書院 2000)に続く本書の3分冊によって、山梨県という「場」を設定したうえで、できる限り民衆により近いところで作られた史(資)料を駆使した構造論的な把握のうえに立った総体としての民衆像を活写する作業は、ひとまず完結する。」(本書「総括」より)
構造論抜きの「社会史的アプローチ」や、瑣末な日常性のディテールにこだわった「民衆史ブーム」の対極に立つ。
【収録内容】 表136・図14収録
課題と方法
第1部 産業化の進展
第1章 産業化の起点(明治前期の物産構成/物産構成の地域的特質)
第2章 産業発展と物資流通(産業化と物流/明治後期の移出入/物流構造の変容)
第3章 産業構造の再編成
 (産業構造の変質/農業類型の転換/副業の地域類型/景気循環と産業構成)
第2部 就業構造と労働力移動
第1章 明治前期の就業構造(労働人口の構成/階層構成と就業構造)
第2章 職業構成と労働力移動(職業構成の変容/労働力の移動/女工流出の実態)
第3部 在地資本と所得構造
第1章 明治前期の在地資本(地方資産家の分布状況/都市部豪商層の蓄積基盤)
第2章 産業展開と所得構造
 (所得税納税者の動向/有力資産家の所得構成/農村諸階層の所得構成)
総括−まとめにかえて

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