中世東国の地域社会史
中世史研究叢書D

湯浅治久著(千葉県市川市立 市川歴史博物館学芸員/1960年生まれ)

2005年6月刊 
ISBN4-87294-388-0
A5判・430頁・上製本・函入

9500円
 前著『中世後期の地域と在地領主』(吉川弘文館 2002年)が畿内近国を中心とした在地領主論・地域社会論であったのに対し、本書は著者が現在勤務する地域博物館での研究成果をもとに、「地域社会史」の方法にもとづき、鎌倉-室町期における東国社会の特質について、宗教・在地構造・地域経済といったタームから解明することをめざしたものである。
第1部では、中山法華経寺が千葉氏の外護を離れて、住民との結びつきを強めていくありかたから、中世寺院を媒介とする地域社会の有様を追究する。
第2部では、中世後期の東国社会の基本的枠組みを「郷村」に求め、宗教史料、近世史料、考古史料などをもとに、景観論や荘園調査の成果などを援用し、多角的に解明する。
第3部では、「日蓮遺文紙背文書」を活用し、地域社会における経済システムについて分析し、そのコアとなる「都市的な場」の性格を検討する。


【上巻:主要目次】
  
第1部 東国寺院と地域社会

第1章 東国の日蓮宗
第2章 東国寺院の所領と安堵
 附論 寺院資料の伝来と宝蔵/六浦上行寺の成立とその時代/史料としての曼荼羅本尊

第2部 東国「郷村」社会の展開
第3章 室町期東国における荘園公領制と「郷村」社会−上総国を事例として−
第4章 中世郷村の変貌−下総国八幡庄大野郷の15、6世紀−
第5章 中世〜近世における葛西御厨の「郷村」の展開
 附論 お寺が村をまるごと買った話−中世東国村落における末寺の形成−


第3部 地域経済と「都市的な場」
第6章 鎌倉時代の千葉氏と武蔵国豊島郡千束郷
第7章 肥前千葉氏に関する基礎的考察−地域と交流の視点から−
第8章 東京低地と江戸湾交通
第9章 中世東国の「都市的な場」と宗教−地城史のための方法的一試論−
                                  

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