神子と修験の宗教民俗学的研究

神田 より子 著
(敬和学園大学教授/1947年生まれ

2001年9月発売
A5判・876頁・上製本・函入
ISBN4-87294-199-3
18800円

巫女は、神々や諸霊と人々との間に立つ媒介者である。本書では、その中でも岩手県陸中沿岸地方で「神子(みこ)」と呼ばれている巫女を中心にすえる。
そこで、近世から近代にかけての民間巫者に対する禁止令などの変革期をどのように乗り越えてきたのかを検討する。次に神子の生活誌を分析し、神子の系譜、生活史、霊魂観や他界観念を踏まえての災因論、地域社会の視線から見た神子の姿を明かにする。そして彼女らの活躍を歴史的に位置付けるため、地域社会に残る史料を利用し、近世期における巫女の変遷、組織や地域社会の中での位置付けを検討する。その上で神子の行っている湯立託宣や病気治療など儀礼の諸相を取り上げ、儀礼の持つ論理と宗教的世界観を分析する。
【主要目次】
序論
第1部 巫女の研究史
第1章 日本民俗学における巫女研究史
第2章 宗教学・精神医学・人類学における
     シャーマニズム研究史
第3章 巫女と修験のかかわりに関する
     歴史的研究
第4章 本論の視点―地域研究と巫女―
第2部 陸中沿岸地方における
     神子の生活と地域社会
第1章 語りの中の神子の伝承
第2章 神仏分離令と近代の神子
第3章 神子の系譜
第4章 神子の生活誌
第5章 神子と地域社会の女たち
第6章 禁忌と託宣
第3部 神子と修験のかかわりの
     歴史的変遷
第1章 歴史的概観
第2章 近世期羽黒山正善院文書に見る
     神子の位置付け
第3章 近世期修験文書に見る神子の変遷
第4章 近世期陸中沿岸地方の
     神子の生活と社会
第4部 神子の儀礼と世界観
第1章 湯立託宣と神子舞
第2章 オシラサマ儀礼の諸相
第3章 治療儀礼
第4章 死者儀礼
第5章 神子の世界観
第6章 神懸かりと呪力を導くもの
結論 神子と修験の新たな研究へ向けて
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