書評(1)(2)(3)(4)
日本宗教民俗学叢書4
立山信仰と立山曼荼羅

―芦峅寺衆徒の勧進活動―


福江 充著
(富山県[立山博物館]主任・学芸員)

1998年4月刊
A5判・本文390頁・口絵24頁・
上製本・函入り
ISBN4-87294-106-3
8200円


廣瀬誠氏 序文より
 福江氏は各種史料を丹念に克明に調査され、龍淵の出自から宗教的活動の実態・性格にいたるまで詳しく解明された。芦峅寺最大の行事、布橋潅頂会の儀式内容も龍淵が積極的に指導し改革したものであることも実証的に指摘された。その「布橋」と「布橋潅頂会」の名称も、当初からあったのではなく、いくたびかの変遷を経ているという。
 芦峅寺衆徒の勧進活動の内容と対応するように形成されてきた立山曼荼羅の製作過程も、福江氏は、現存立山曼荼羅約40点を、その構図・図柄・図像の異同類似を手がかりにして一つ一つ検討して、各本の間に模写関係があることを突きとめ、鮮やかに系統づけられた。 さらに、江戸における近世末期の立山信仰の実態についても、檀那帳その他の史料を駆使して縦横に調査され、その勧進活動による収入と必要経費支出の全貌にも迫られた。


【主要目次】

立山曼荼羅41点収録(カラー8頁,白黒16頁)
第1章 もと高野山の学侶龍淵の在地宗教活動
第2章 江戸時代の立山参詣者
第3章 「芦峅寺文書」に見る布橋と布橋潅頂会
第4章 立山曼荼羅『坪井龍童氏本』について
第5章 立山衆徒の勧進活動と立山曼荼羅
第6章 近世後期における芦峅寺系立山曼荼羅の制作過程についての一試論
第7章 越中立山の地獄信仰と立山曼荼羅に描かれた地獄の風景
第8章 立山山麓芦峅寺の宿坊と護符
第9章 近世幕末期の江戸における立山信仰
第10章 立山講社の活動―近代化の中での模索―
立山信仰史研究文献目録
立山曼荼羅作品解説



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