No.1046(2018.07)

【その後の歴史系出版社】

 この「裏だより」No.975(2016.10)に、「10年後の歴史系出版社」と題して書いた。そのご、これが現実になってきた。歴史学研究会の月刊誌『歴史学研究』の発売が、青木書店から績文堂出版に変更、そして歴史科学協議会の月刊誌『歴史評論』の発売が、校倉書房から協議会独自の発売になった。校倉書房は今年(2018)3月に社長が亡くなったこともあって、この7月で廃業である。
 戦後の歴史学をリードしてきた青木書店・校倉書房が、あいついで撤退である。
 数年前、国文学系の雑誌『国文学解釈と鑑賞』(至文堂)、『国文学』(學燈社)、『文学』(岩波書店)があいついで終刊になった。このときは、国文系の学界に危機意識があった(いまは、どうか知らない)。
 いま、歴史系の学会に危機意識があるか。どこの学会も、少子高齢化で会員数が減少している。今回は、学会誌が終刊になったわけではない。大会などでの書籍販売の売上も、落ちているとは言え、研究者の購買力はまだある。でも、研究成果を発表する場としての「本」を出版する出版社がなくなったら、困るだろう(あと数年で岩田書院も撤退する、と言ってる私が言うのもなんですが…)。あっ 困らないか。学位論文などは既にウェブ上で無料で読めるし。
 でも、今回の「裏だより」No.1047 に書いたように、新しい出版社ができてるし、日本史系では、高志書院有志舎吉田書店など一人でやってる出版社が、新刊をどんどん出しているので、私が心配することではないな。