No.88 1997年8月
【売れない本】
 「本が売れない」と言っても、岩田書院の場合、初版部数を絞り込んでいるし定価も高くしているので、刊行後6か月で、ほぼ直接経費(宣伝費や諸経費を除く)を回収しているのだが、今年になって、売れない本を3点も作ってしまった。
 専門書だとは言っても、刊行後3か月の動きが勝負である。特に2か月めと3か月めの実売部数が決め手になる(最初の月は、著者買上げなどの特殊事情があったりして、本によって誤差がある)。この間にあまり売れないと、あとは期待できない。逆にこの間に追加注文がどんどん来るようだと、まず大丈夫。
 さて先の3点だが、どの程度売れないかと言うと、刊行後2、3か月のふた月で、実売部数が16、24、29、という数である。ちなみに他の本は、64、86、94、103、などとなっていて、明らかに動きが違うことが判る。
 こういう本を作ってしまった場合、どうするか…。売れないからと言って、へたに宣伝費を投入すると傷を大きくするだけなので、正直いってあきらめるしかない。悪あがきはしないほうがいいのである。その分を、他の本で穴埋めするしかない。
     
  *「売れない」と、はっきり書いてしまったので、その本の著者が気にして電話をかけてきてくれた。内容が悪いといってるわけでは決してないし、そのために岩田書院がつぶれそうだ、といっているわけではないのだが、かなりプレッシャーをかけてしまった。その点、私も気にしてまして、No99で、多少フォローしています。

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