近世社会の成熟と宿場世界
近世史研究叢書21

井上 攻 著
(横浜市歴史博物館学芸員/1958年生まれ)

2008年5月刊
A5判・343頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-509-6 C3321 \7900E
7900 (税別)

本書の対象とするフィールドは、神奈川宿とその周辺で、対象とする時代は、主に文化期から天保前期である。
「本書では、大まかには、二つの括りで宿場世界の具体像を明らかにしようとしている。
第1編の「宿場の災害と宿民」は、天保期に起きた飢饉と大火を素材に、宿場の対応を多方面から分析したものである。災害という非常事態の中では、宿場としての生態や宿外との関係構造が日常時より顕著に見えてくると考えられ、その実態を明らかにすることを目的としている。また災害にともなう制度や構造の問題だけではなく、災害に対する除災祈願や火災に対する入寺慣行など、従来注目されなかった宿民の習俗的な側面にも目を向けている。
第2編の「宿場の文化と歳事」は、本書の題名にもなっている「近世社会の成熟」の文化的側面を神奈川宿で具体的に示そうとするものである。とりわけ、江戸との関係を重視し、江戸近郊の宿場の文化的特質を明らかにしていくと共に、宿場自身の自己認識の問題にも触れてみたい。」 (「序章」より)
【主要目次】

第1編 宿場の災害と宿民
第1章 天保飢饉時の神奈川宿
第2章 除災祈願と地域社会
第3章 宿場と火災−天保二年神奈川宿の大火を事例として−
第4章 宿場の火災と火元入寺−神奈川宿を事例に−


第2編 宿場の文化と歳事
第5章 神奈川宿本陣日記に見る文化交流−外出と来訪をめぐって−
第6章 宿場の歳事記-神奈川宿本陣日記の記述から-
第7章 神奈川宿の開帳と相撲興行
第8章 川崎山王社の秋の祭礼


付 論 神奈川宿と神奈川御殿


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