近世上野神話の世界
在地縁起と伝承者

佐藤 喜久一郎 著
(長野大学非常勤講師/1974年生まれ)


2007年10月刊
A5判・390頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-485-3 C3039 \9500E
9500円 (税別)
 『神道集』と「在地縁起」ばかりを対象にするのではなく、由緒・系譜・稗史など、あらゆる近世的歴史叙述をも対象にして、それら相互の関係および、「上野国」のイデオロギーとの接合、あるいは非接合を考える必要があろう。「在地縁起」もまた、他の異質な歴史叙述から何がしかの制約を受け、ある一定の役割を果たしたはずだ。
上野国という場で行なわれてきた歴史解釈のせめぎあいの過程を、「上野神話」の名のもとに再構成することで、さまざまな葛藤の歴史を明らかにしたいのだ。 (本書「序章」より)

【収録内容】 

序 章 上野神話という概念
『神道集』と上野国/アポリアに直面する『神道集』研究/近世「上野神話」の地平へ
第1章 近世化された周縁
1 「聖なるもの」と「賊」
2 碓氷峠の「佐太夫」
第2章 「物部神道」と「榛名神道」
1 「物部神道」と『先代旧事本紀大成経』
2 「榛名神道」の誕生
第3章 『神道集』と「在地縁起」
1 『神道集』の「上野国」とはなにか
2 「在地縁起」の近世的展開
3 「お菊」信仰の近世的展開
第4章 「羊太夫」と「上野国」の終焉
1 「小幡羊太夫」伝説の個性とその問題点
2 「羊太夫之墓」から「多胡碑」へ
3 「小幡羊太夫」をめぐって
4 「多胡碑」と「シラクラ」
終 章 再び周縁へ
「佐太夫」と「羊太夫」/歴史の誤読は避けられない


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