柳田國男と信州

胡桃沢 友男(1921-2000)著
石井 正己解説

2004年5月刊 
ISBN4-87294-306-6
A5判・640頁・上製本・函入

14800円

「父胡桃沢勘内が雑誌『郷土研究』を購読して興味を持ち、郷土の民俗の採集をするようになって柳田に師事し、やがて信州における郷土研究の草分けとして、教育会を中心に受容を働きかけたことなどから、私自身もいつの間にか民俗学の門前の小僧となり、学生時代には柳田・折口・渋沢らのお邸を何度も訪ねるようになっていた。…
『故郷七十年』をはじめとする柳田の著書や、生前勘内が書き残したもの、さらに柳田・岡村(千秋)をはじめとする関係者の書簡類によってかなり明らかになってきた。さらに、『定本柳田國男集』の「年譜」がこれを裏づけてくれるものと期待したが、柳田と信州が学問によって結ばれるようになった大正4、5年ごろの記載が極めて少なく、しかも 最も知りたい部分が欠落していた。その欠落を補って、信州における民俗学の昭和初期までの歩みを明らかにし、柳田研究の資にしようとしたのが執筆の意図である。」(本書より)
本書は、胡桃沢勘内が保存していた貴重な資料をもとに、著者が生前刊行を計画していたもので、未完の部分については、関連する既発表論文を補って刊行。
【主要目次】
第1編 山間の古道からの発見
最初の信州旅行/峠と古道の研究/木曽から飛騨・北陸路へ/秋葉と遠山の道/『熊谷家伝記』を求めて/三州街道を歩く/糸魚川街道を歩く/八ヶ岳山麓の道
第2編 郷土研究から民間伝承論へ
岡村千秋のこと/郷土研究への指向−胡桃沢勘内とその周辺/柳田と教育会の接近/『東筑摩郡誌別篇』の編纂/『炉辺叢書』をめぐって/小池直太郎と『小谷口碑集』/ 雑誌『信濃教育』の果たした役割/『真澄遊覧記・信濃の部』の刊行をめぐって
第3編 補 遺
折口信夫の石神調べ/道神図絵出版記念帖/「蕗原」以前/柳田先生と私の父/親子三代のおつきあい/箱山さんを民俗学にとりつかせた人々/長野県民俗学界の将来への提言
付 編
胡桃沢友男書誌(石井正己編)/解説:民俗学の門前の小僧 胡桃沢友男(石井正己)
 
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