近世史研究叢書G
助郷一揆の研究

―近世農民運動史論―

高橋 実著
(作新学院大学教授/1946年生まれ)


2003年2月刊 ISBN4-87294-267-1
A5判・338頁・上製本・函入
7400円
本書は、近世中後期から幕末維新期における農民の意識と行動の問題を、日常の延長である訴願の場面と、飛躍した非日常の百姓一揆の舞台で具体的に探索したものである。
その中心は、文化元年に起こった常陸国牛久助郷一揆の具体的研究であるが、全体として当該地域の農民運動史論となるように構成した。
【主要目次】
 
序 章 近世農村史論の現在
(近世史研究のあゆみと課題/近世農村史研究の視角と方法)
第1章 近世中期訴願運動の意識と行動
(別名主訴願運動の概要/訴願における農民の意識と行動の諸相/当該訴願史料の位置・意味について)
第2章 牛久助郷一揆の展開
(牛久・荒川沖両宿と助郷問題/一揆の前提と発端/一揆の展開と打ちこわし/幕府の対応と処置/一揆の結果と影響)
第3章 牛久助郷一揆の構造―日常から蜂起へ―
(一揆への結果―「悪」の措定―/頭取への跳躍―逡巡と転換―/打ちこわしへの飛躍―超越的シンボル―/参加強制の論理/打ちこわしの規律性と倫理性/従来の牛久助郷一揆観/一揆後の伝承と遺蹟)
第4章 牛久助郷一揆の世界―騒動・一揆とその作法―
(一揆記録の世界/牛久助郷一揆の装束といでたち/牛久助郷一揆の得物)
第5章 百姓一揆再考
(牛久助郷一揆の概要と従来の百姓一揆認識/牛久助郷一揆観について/鎮圧鉄砲使用意識について/近年の一揆時鉄砲使用に関する研究成果/百姓一揆春闘論の検討)
第6章 天保期村方騒動の展開と特質―常陸国筑波郡足高村の場合―
(足高村について/村方騒動の発生と展開)
付 論 幕末維新期 ある老農の世界―飛田佐平太の生活と生涯―
(佐平太の「年々覚附」とその背景/佐平太の生涯とその活動/「年々覚附」にみえる佐平太の世界)
終 章 まとめと今後の課題
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