岩田書院影印叢刊A
農家調宝記

澤登 寛聡 編
(法政大学助教授/1952年生まれ)

2001年8月刊
A5判・316頁・上製本・函入
ISBN4-87294-202-7
4800円
品切れ
 本書は、高井蘭山著『農家調宝記』(三編三冊)を影印版で刊行し、解題を加えたものである。著者高井蘭山(1762-1838)は、江戸時代の戯作者として著名で、作品としては『絵本三国妖婦伝』『孝子嫩物語』『星月顕晦録』などが知られる。
この『農家調宝記』の宣伝文には、「此の書は、天地開けて肇りて耕作せる由来ありして、四時万端の勤方、作物取扱、地方検地、御年貢収納、算用早割、諸願、諸証文、手紙等の認方、男女婚礼の式等の心得にいたる迄、洩さず記せし宝書なり」とあり、誰にでも読めるように、漢字に振り仮名が付けられ、平易で通俗的な言葉遣いで書かれている。
 このように、本書には、農業に関する知識というよりは、当時の人々が日常を暮らしていくうえで不可欠な経験的知識が満載されている。
したがって、近世の庶民生活の実態を知るための資料として、重要な意味を持つ。
【主要目次】
農家調宝記(影印)
正編(文化6年版):和漢農を重ずる事/蚕養道軽からざる事/農家穀神の事/大歩小歩検地の事/井田の事/農家年中蒔仕付時節の事/畝引の事/高免毛附免の事/升の籾何合を知事/堤普請諸入用積/証文類5種/願書類5種/注進御届書類5種/他
嗣編(文化14年版):親類の事/氏神生土神の事/日の吉凶を撰む心得の事5 /夜半を昨今の界とする事/医師へ遣わす容体書に入用の字/諸証文一札の案文/日用相場早割品々/金銀重さ釣合并秤目品々/他
続編(文政5年版):民は国の本又百姓と訓ずる事/婚姻の式品々/指頭に毎年星の吉凶を繰る/土用十八十九の説/潮汐の盈虚月の出入再説/来年閏の有無及び何月閏あるべき大概を知/書状手紙の心得品々/日用 相場割品々/勘之事/他
解題:高井蘭山と農家調宝記(澤登寛聡)
高井蘭山の経歴と事績
『農家調宝記』の製作と内容
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