キリスト教 解禁以前
切支丹禁制高札撤去の史料論

鈴江 英一著
(国文学研究資料館史料館教授/1939年生まれ)

2000年11月刊
A5判・186頁・並製本・カバー装
ISBN4-87294-186-1
2800円

「本書は、明治維新早々に新政府が掲示し、5年後に自ら撤去した「切支丹禁制高札」について、これがキリスト教の解禁または黙許につながるものであるかどうか、を考えようとするものです。
 同時に、話題の中心となる史料は、高札撤去を命じた太政官布告という法令ですが、この解釈をめぐって作成された史料の諸相、つまり官庁の公文書から、私的な書簡、日誌、旅行記、回想録に至るまでの文書・記録の広がりを見ていきたいと思います。
 さらに、このような史料がどのようにして私の視野に入ってきたのか、そうした経過も本書のテーマにしたい一つです。いわばこの一件を三重構造で語ってみたいと思います。
副題として「切支丹禁制高札撤去」とともに掲げた「史料論」とは、禁制高札撤去布告の解釈のほかに、登場する史料のネットワーク、研究の進展にうながされて広がる史料の世界を表現しています。」                   (本書「はしがき」より)


【主要目次】

序 章 高札・切支丹禁制・史料
第1講 ハリストス正教徒捕縛される
1 近代初頭のキリスト教問題
2 開拓使文書のなかのキリスト教
3 仙台・函館の捕縛事件
4 外交問題への発展
5 事件の決着

第2講 禁教高札が撤去される
1 拡大する洋教事件の史料
2"寛典の処置"効果
3 教導職との衝突
4 高札撤去布告の意味
5 高札撤去布告の反応

第3講 禁教は解かれたか
1 研究の組立て直し
2 高札撤去布告論争が起こる
3 各地に広がる禁教事件
4 禁制の内容
5 禁教政策の終息

終 章 史料論としての終わり


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