「この研究会の掲げた研究目標の一つは、研究の現状を踏まえた各国一宮および諸国一宮制についての基礎的データの収集と整理、具体的には、@諸国一宮および二・三宮以下の確認と、本寺・惣社・国府・国衙関係寺社の確認、Aこれら各国の一宮以下についての先行研究の整理と到達点の確認、B各国の一宮以下についての史料の存在形態とその所在の確認、およびその史料の性格についての吟味と検討などであり、本書はこの基礎的データを統一フォーマットに基づいて整理したものである。
同時に、中世諸国一宮制と密接に関わる二十二社と国衙機構についても、現在の研究の到達点と文献目録とを合わせて掲載することとした。
以上のように、本書は中世諸国一宮制研究を進めていくための基礎的前提の確認に主眼が置かれており、一種の便覧的性格を持つものであるが、諸国一宮を中心とする各国ごとの状況を具体的に総括したものとして、今後における各方面の研究に大きく資することは疑いないと確信する。」 (井上寛司「はしがき」より) |