狩りの民俗

天野 武著
(帝京大学教授)

1999年5月刊
A5判・296頁・上製本・函入
ISBN4-87294-145-4
5900円
狩りを成功させるためには、対象としてきた鳥獣類に関わる諸々の習俗を熟知していることが必要不可欠であった。本書では、その狩猟習俗を、狩りに直接関わる猟技術や実態の報告だけににとどめず、それらに関係する習俗も、可能な限り広範囲に求めることを基本とし、その上で学界でさほど議論・検討が加えられてこなかったと解される分野、従来知られていなかったことで新たに確認できた項目、などを積極的に取り上げてみた。第1章から第3章までは、狩りの本質・目的・猟技術などに関わる分野を取り扱ったものであり、第4章は、狩りの対象となってきた鳥獣類そのものに焦点を当てたものと言えよう。そして、第5章から第7章では、猟果に関わる民俗を取り上げた。
【主要目次】
第1章  カルとオチモン−狩猟習俗考−
  野兎の異名(カル・オチモン)をめぐる民俗を通じて、狩猟習俗の特色を探る。
   
第2章 ものを振り回す威嚇猟法
  野兎などを威嚇し、雪穴に逃げ込んだのを生け捕りにする猟法の実態を報告。
   
第3章 ト(四肢跡)をめぐる一,二の問題
−野兎の場合を中心に−
  積雪上に残る鳥獣の足跡をトと呼ぶ地域が東日本に限られるという通説を再考。
   
第4章 野兎の異名と民俗
−ナガッチョロ・ツヤメッコ・オソイモン考−
  野兎の異名の命名由来。
   
第5章 クマ(月の輪熊)に跨りクマに跨らせる習俗
  クマ狩りのムラ(新潟県上川村)における成育習俗の一面。
   
第6章 ホネダゴ(骨団子)のこと
−白山麓小原における野兎の民俗の一面−
  野兎の骨を叩き潰し、団子にして煮て食べる習俗。
   
第7章 ウサギノテ・アシをめぐる民俗考
−白山麓小原の場合を中心に−
  野兎の手足を呪術に用いたり、骨をけずってモッコバリとする等、多様な展開。
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