No.942(2015.12)

【本を買わない研究者って何?】

 先日(2015.10.10-11)、西宮の関西学院大学で、日本民俗学会の年会があった(日本民俗学会では「大会」とは言わずに「年会」という)。で、そこに本を売りに行ってきたのだが、発表会場と書籍販売の部屋とが離れていて、お客さんが来ない。それは、まあいい。大会の主催者もそのへんは気を遣ってくれて、2日目の昼食券の引き替えを、書籍売り場の近くの教室にして、そこで食べるようしてくれた。で、当然、みんな来る。おっ、結構来てるじゃないか。食事が終わったら当然、こっちに来てくれるだろうな。と待ち構えていたらパラパラ。
 あれ?、もう午後の発表が始まるぞ。えっ?、そんな馬鹿な!。みんな会場に戻っちゃたの?。おい、ここまで10メートルだぞ。買いたい本はないのか?。どんな本が出てるか気にならないのか?。研究会がどんな雑誌を出してて、そこにどんな論文が載ってるかチェックしておかなくちゃ、と思わないのか?。おい、それで研究者か?。
 まあ、久しぶりに仲間と会って、お互いの研究情報を交換したり、打合せをしたり、当然、研究発表も聞きたい、という気持ちも判る。でもな、素通りはないだろうよ!。えっ?、書籍売り場がどこにあるか判らなかったって?、そんな程度の関心なのか?。
 本が売れない。それは、買う人がいないから。そうだよな、この状況を見ると判るよな。そうなると学術書の出版が成り立たなくなるんだぞ。これを維持するためには、助成金をもらうか、著者が自分で出版経費を出すか、しか方法はなくなるぞ。だから、現にそうなってる。でも、そうやって本を出してきた人であっても、これから本を出したいと思ってる人に同じ思いをさせるなよ。つまらん本なら買わなくていい、出さなくていいしな。でもな、これって、自分で自分の首を絞めてるぞ。判ってる?。
 これ以上は、やめておこう。