No.827(2013.10)

【各社とも悲惨な結果です(続)】

 以前このタイトルで、全国の公共図書館がいかに専門書を買わないか(買えないか)ということを書いたが、その時よりも、さらにひどい数字が…。
 図書館流通センター(TRC)ストック・ブックスNo.1807(2013.3.12).1813(4.23)の納品実績です。全国の約2800の公共図書館からの発注数です。
 ・汲古書院『金田から南京へ』10000円 0冊
 ・同 成 社『骨角器集成2』 12000円 0冊
 『金田から南京へ』は、この書名からだけでは内容が判りにくいが、副題「太平天国初期史研究」に見えるように中国近代史研究の学術書で、日本近代史にも大いに関係がある。『骨角器集成』は東京国立博物館編で、この第2巻は「鹿角製刀剣装具篇」である。
 いずれも、この分野を研究するための基本文献だと思うのだが、1万円を超える値段では、個人ではなかなか買えない。大学など研究機関に所属している人は、所属機関の図書館や研究室が買ってくれるので、それを借りればいいが、普通の人は公共図書館から借りるしかないだろう。それがこの現状です。必要なら自分で買うしかないのか…。
 なお前回のこの話題を書いたとき、公共図書館はTRCからだけ買っているわけではない、というご指摘をいただいている。確かにそうだが、傾向は判るだろう。
 今回は、岩田書院のことは書かずに他社ネタです。岩田書院は、まだ「0冊」というのはない。というか、そういう買ってくれそうもない本は、そもそもストック・ブックスに取り上げられないから。