No.541(2009.1)

各社とも悲惨な結果です】

 この「裏だより」でたびたび話のネタにしているTRC(図書館流通センター)の売上げですが、愕然とする結果がでている(『週刊新刊全点案内』1597号、2008.12.2)。
・岩田書院 「日本古代の外交制度史」 7900円 4冊(32)
・塙 書 房 「弥生再葬墓と社会」 12000円 5冊(32)
・雄 山 閣 「古代東国地域史論」 6800円 7冊(34)
・吉川弘文館「律令官人制と地域社会」11000円 7冊(57)
 これは、全国の公共図書館2700館余が、新刊刊行後20週間に注文した「総冊数」である。日本全国の公共図書館で、岩田書院の「日本古代〜」を買ったのは、たったの4館ですよ。これって、どうよ!。まだ続けましょうか…。
・笠間書院 「古今和歌集論」 7500円 9冊(52)
・刀水書房 「中世歴史人類学試論」 7000円 9冊(64)
 岩田書院の道連れ?にしてしまったのは、いずれも私の知ってる同業社ですが、この時は見事?に、各社が売上げ冊数1桁で勢揃いしてしまった。
 最近は公共図書館間のネットワークが良くなって、購入希望のリクエストをしても、買わずに、他の図書館から借りてきて対応してしまう。これじゃ、全国に1冊あればいい、ってこと?。
 ( ) 内の数字が何かって?。これは、「NACSIS Webcat」で検索した大学図書館の所蔵館数(2008.12.9 現在)。これだけの大学では、買ってくれている、ということで、こういった専門書を買い支えてくれているのは、公共図書館ではなくて、大学図書館であることが判る。しかし、その大学図書館も、以前は、一大学で複数冊の購入があったところも、今では1冊が原則。大学間のネットワークは、良くなかったのだが、最近は、自分のところにない本は、近くの大学図書館から借りてくる。
 こういう状況下で、本を作って売っていかねばならんのですよ。なんと因果な…。