No.819(2013.10)

【岩田書院が中国史を?】

 今回出版した『中国宋代の地域像』 は、その名のとおり、中国史です。日本史・民俗学を専門とする岩田書院が、なんで中国史の本を出すの?。内容をよく見れば、比較史の視点から、日本史・イタリア史から各1本論文が入ってますが…。
 たしか、企画当初は、比較史の比重が大きかったような気がしたのだ。それで出版を引き受けて、いざ蓋を開けてみたら日本史の論文が1本だけだった、というように思っていたのだが、この文章を書くために、過去のメールをチェックしてみたら、割と早い段階で、いまの形になっていた。ま、それはいいとして…、
 この本をどうやって売るか、です。その分野の研究者であれば、自分の関心あるテーマの新刊情報についてはアンテナをはっているもんだが、その範囲外から出されると情報が伝わらない。現に岩田書院は、毎回DM1万3000通を出しているが、その中に中国史研究者と言える人は、今回の論集の執筆者くらいじゃないのか…。いつも出している学会誌の広告にしても、東洋史を含むのは、「歴史学研究」「史学雑誌」「歴史評論」「史林」くらいじゃないか?。
 もう、ここで手詰まり。研究者人口だって、日本史に比べると、はるかに少ない。ちょっと考えれば判ることだが、大学院を出て研究職に就ける人が少なくて、みな困っているが、それでも日本史系であれば、大学・博物館・自治体史編纂など、いくつか就職先は考えられるが、東洋史の研究室がある大学は少ないし、東洋史系の博物館なんて、何館あるんだ?、まして自治体史編纂のバイトなんて、あるわけない。これじゃ購買力は、日本史に比べて、かなり落ちるだろう。そう思うと、東洋史の本を出している出版社は、えらい!。
 この本、内容は、いいんだがなぁ〜。