No.802(2013.05)

【○○さんへの手紙(3)】

 人文系の専門書出版社は、研究者の研究業績を本にして、それを生業としています。研究者は(研究職に就いている いない に関わらず)、研究したことを学会や雑誌で発表し、何年かかけてそれを体系だったものとして、書籍という形で世に問うことになります。出版社は、それが世に問うだけの価値があるものかどうか、それを出すことで経営が維持できるのか、という判断で本にしていくわけですよね。
 出来上がった原稿は、著者のなかでは完成していても(してないのが多いが)、本を作る側からみると、構成が悪かったり、検証が不十分だったり、日本語になってなかったり、といろいろ問題があるのが多いです。それを商品としていくのが、編集者の仕事になるわけで、その間に校正という作業も当然入ります。
 校正も、手書き原稿を組んでいた時代は、原稿と校正紙を突き合わせて、原稿どおりに組んでいるかが重要でしたが、著者が文字データをつくるのが当たり前になったいまでは、入力ミス・変換ミスがないか、全体の統一がされているか、見出しのレベルが合っているか、という細かいところのチェックや、引用が正しくされているか、のチェックも必要になってきます。
 ここからが、○○さんに対する具体的な返事の一つになります。(まだ続く)