No.660 (2010.11)

【定価が高いと売れない】

 なにをいまさら、と思うかも知れませんね。
 今年2010年4月に刊行した『鎌倉幕府守護の基礎的研究』ですが、全2冊で、論考編が588頁、国別考証編が612頁。400部発行で定価は各14800円にした。500頁を超えると、1万円以下の定価をつけるのは、むずかしい。12800円 という価格を考えたのだが、1万円を超えると、とたんに売れなくなる、という経験則があるので、最低販売部数で原価回収を目指そうと思って、高値設定にした。
 それは、考え方としては間違っていなかったとは思っているのだが、学会や研究会などで、実際に本を手にとって、定価をみて、買うのをあきらめてしまう人が多いのも、事実である。では、いくらなら買ってくれたんだろうか。1冊9500円(税込9975円)にすれば、学会販売で2割引だと約8000円になるが、2冊買うとなると1万6000円。これなら買うか?。
 じつは、2冊いっぺんに買うとなると高いので、まずは「論考編」だけ買っておいて「国別考証編」は図書館から借りて我慢しようか、という人もいるか、と思って「論考編」を50部多く作ってみたのだが、実際は、販売部数にほとんど差がない。ここでも予想が外れた。
 やっぱり、部数を100部増やして1万円を切る値段にしたほうがよかったか…。でも現状で著者の買上げ分も入れて実売約200セットだから、これが値段を下げたことによって100セット余計に売れたか と問われると、そうはならないだろう、という結論に落ち着くのだが…。違うか?。