No.552(2009.3)

著者への献本は印税か】

 日本学術振興会の助成金を申請する際の条件として、著者への印税は無しとする、という項目がある。それと同時に、市販部数以外の本を30冊までは認めている。これが著者への献本になるのだが。もちろん著者は、それを、本を刊行するためにお世話になった人や機関に寄贈するので、本人には一銭も(1円も、というべきか)入らない。
 以前、税務署が調査に来るということが判ったときに、事前の準備として、この著者への献本が、印税の現物支給にあたるかどうか、同業他社や税理士さんに確認したことがあった(税務署に確認するようなことはしていないです)。その時は、みな、それは印税の現物支給ですよ、という判断だった。そうだとすると、著者にとっては収入が増えてしまうし、出版社は源泉税を納めなくてはならないことになる。
 でも、これって、著者感覚としては、おかしいですよね。出版社から印税ももらってないし、逆に買上げという形で本を買ってるくらいなんだから。なので、これは「印税」ではない。この学振の判断は、税務署への理論武装としては、充分に使えますよ。