No.547(2009.3)

新分野に進出?】

という意識は あまりないのですが、今回刊行した『九相図資料集成』は、「美術史」という範疇に入る本のようです。それから、一昨年からスタートした『浅井了意全集』は「日本文学」でしょう。
 日本史・民俗学を刊行の柱とする岩田書院にとっては、新分野に進出、と言えるかもしれませんが、私にとっては、いままでの出版活動の延長線上にある仕事です。
 岩田書院は後発メーカーとして、従来のオーソドックスな日本史と、民俗学・宗教学・国文学などの周辺分野とがクロスする分野を多く手掛けてきました。それが、宗教民俗学であったり、歴史地理学であったり、説話文学であったりするわけです。
 今回の『九相図資料集成−死体の美術と文学−』も、そのなかでお世話になった方の編です。ただ 今回の「九相図」を売るには、「九相図」の説明から入らないといけないのがつらいところ。現物を見てもらえれば内容がすぐ判ると思うのですが…。この本、日本学術振興会から出版助成金を170万円もらえたので、A4判・246頁(カラー64頁)で本体8900円と、お買い得です。
 去年は『死者のゆくえ』が売れたので、今年は、同じ「死体がらみ」で、この「九相図」に期待です。ちなみに「九相図資料集成」だけでは、どんな本か内容が判らないので、副題をつけることにしたのですが、私は「女性腐乱死体へのまなざし」という案を提示したのですが、編者とその周辺から?? がつきまして、「死体の美術と文学」という、きれいな副題になりました。