No.441(2006.09)

【文系クラブの衰退

 千葉県にある東邦大学附属高校に東邦考古学研究会があって、今年の3月付けで『東邦考古』30号(創部45周年記念論集)が刊行され、岩田書院に送られてきた。この雑誌、年1冊刊行で、顧問の山岸良二先生の熱意でここまできた。
 このクラブ、3年生が卒業したあとの新1年生3人だけのようだ。夏合宿の写真を見ても、この3人しか写っていない。私は毎号の編集後記だけは読んでいるが、ハラハラさせらる。つまり、つねに廃部寸前状態なのですね(すみません。こういう書き方をしてしまって)。学生さんが入部しないのです。
 今、研究の中核を担っている人達は、大学に入ってから研究に目覚めた、という人は少ないのではないだろうか。早い人は、小中学校の時代から興味を持って、おかしな子どもをやっていたのではないだろうか。そういう考古少年のような子どもが少なくなってきたし、彼らを育てる環境も壊れてきてしまっているのだろう。
 岩田書院から雑誌や叢書を刊行している御影史学研究会の母胎は、代表の田中久夫先生が御影高校の教師をしていた時のクラブの生徒たちである。古くは民俗学系では『小学生の調べたる上伊那川島村郷土史』(竹内利美編 昭和9年)という成果もある。
 いまは、文化系女子を特集する雑誌がでたり、メガネ男子が流行ったりで、文系復活のきざし?がみえてきているのかも知れないが。かくいう我が家の子どもたちも、文系クラブには入っていないのだが…。