No.433(2006.6)

【好ましい出版社に

このごろ思う。著者と読者にとって好ましい出版でありたいと…。
 まず、著者・編者・執筆者にとって好ましい出版とは、どんなイメージだろうか。
 @本の内容を理解してくれて、原稿枚数を削られないことだろう。内容がよくても、ページ数が多いと定価が高くなって売れなくなるから、出版社は、原稿を減らそうとする。時には、本の構成そのものの変更を要求する場合もある。その際は、次の出版も見据えて選択すべきだろう。その選択のしかたが悪いと、採録されなかった原稿が死んでしまう。もちろん、冗漫な原稿はカットですね。読まされる身にもなってみよう。
 A本の作り方がしっかりしているかどうか。造本・装幀・組体裁にはじまって、校正や校閲がしっかりしているかどうかも重要である。
 B著者に金銭的な負担を要求しないこと。専門書の場合、これで儲けようなどと思っている著者は、まず、いない(と思う)。著者としては、印税は要らないけれど、自己負担は できるだけ少ないほうがいいが、出版社には損をさせたくないと思っている(たぶん。いや、きっと)。
 C定価は安いほうがいい。それに、宣伝をしてくれるかどうかも要チェック。せっかく苦労して出した本である。できるだけ多くの人に知ってほしいし、買ってほしい。こう思うのは、著者としては当然であろう。
 というようなところだろうか。この条件を満たせば、自ずから、読者にとっても好ましい出版になるはずである。そうありたいと思っている。そう思い続けることが、岩田書院が存続するための必須条件なのだろう。…と思う今日このごろです。
 ところで、気がついてますか…。最近の岩田書院、定価を抑えてることを。いままで本体9900円としていたものを9500円にして税込みで1万円以下にするとか、ページ単価25円くらいの定価をつけていたものを22円くらいに抑えるとかしてるし、体裁も、函入からカバー装に切り替えてます。こう見えても、これで結構、苦労してるんです。