No.408(2005.10)

研究者・読者がいなくなるのか】

 近年の大学の学部改編で、文学部−史学科−日本史専攻というコースがなくなっている。文学部じたいがない。国際だの、福祉だの、情報だのと名のつく学部になって、その中に歴史学が生き残っている。これでは、専門的な訓練を受けた研究者予備軍が自動的に供給されないのである。ということは、専門書を買ってくれる人が出てこないのである。
 それと、せっかく大学院まででても、研究職につける人は限られていて、なかなか就職できない。だからお金がない、だから本が買えない、ということになる。
 研究職につけないと、研究する意欲を持続させることが、非常にむずかしい。意欲がなくなると、本を読みたいとも思わなくなる。でも、研究職につくことが目標だったわけではないはずでしょ。研究すること、勉強することが好きで、判らないことを知りたいと思ってたわけでしょ。だったら、環境が悪くても、その気持ちだけは持ち続けて欲しい。そうやって、岩田書院から本を出した人は何人もいます。
 でも、そのためには、仲間が必要でしょう。くじけそうな時に元気をくれる仲間が。そして、よしやるぞ、という気持ちを持って欲しい。そうでないと本が売れません。
 大学行政にふりまわされて研究ができない、といってなげいている先生…、あなたです。なげいてないで、せめて最近の論文は目を通してください。そして、読まなくてもいいから(?)、本を買っておいてください。それが研究職にいる証(あかし)です。…そうか?。
 えらそうなことを書きましたが、要は、本を買ってくださいという、お願いでした。