No.392(2005.08)

函入りからカバー装に

 私がこの業界に入った頃は、人文系の専門書は、みな、函に入っていたものである。それが、函に入っていると、書店の店頭で本を開いて見てくれない、というような理由からか、東大出版会や吉川弘文館などがカバー装に切り替え、他社もそれにならって、今では函入のほうが少数派になっている。
 かつては、函入は定価が高く、カバー装のほうが安い、という常識があったが、最近では、カバー装でも1万円くらいする本もでてきている。
 制作費としては、函入のほうが安いし、いちいちデザインを考えなくていいので、岩田書院では、原則「函入」でここまできた。しかし、製本所の問題もあるのだが、函入だと納期が数週間もかかったりするので、シリーズ物を除いて、原則「カバー装」に切り替えることにした。
 ただ、一点ごとにデザインを変えるのは、けっこうきついので、基本パターンを決めて、日本史・宗教系は青(紺)、民俗・文学系は赤(臙脂)、の2系統にします。表紙のクロス装は従来通りです。新しい装丁を見てください(ブックデザインは渡辺将史氏)。