No245  2002年4月

【出版業界基礎講座B 函入りかカバー装か】

 函入りとカバー装とでは、どちらが制作費が安いか、という話し。意外に思うかも知れないが、発行部数が少ないと、函入りのほうが安いのである。
 函の場合は1個100円くらいでできるので、600部の場合6万円程度で済む。カバー装にすると、デザイナーに依頼した場合、安くても5〜6万円かかる。さらに、カバーの印刷代と用紙代がかかる。しかし部数が多くなると、これが逆転する。
 岩田書院の場合は、函入りのときはスタイルが決まっているので、あっというまに手配が終わってしまうが、カバー装になると、デザイナーに材料を渡して、原案ができると著者にそれを見てもらって、OKがでれば色校正をだして、デザイナーに確認してもらって、というように手間ひまもかかるのである。
 なお岩田書院の場合は、本ができても、書店の店頭にほどんど並ばない。カバー装にしてきれいに作っても、売上げを増やす効果はあまり期待できないのである。
 というわけで、専門書はほとんど函入りにしているが、これだと若い読者や著者からは嫌われてしまうのかなあ〜。以前は専門書は、上製本・函入りが常識だったのだが…。