No.218  2001年11月

【専門書出版社は大変です】

 長引く出版不況、手堅いといわれる専門書の売れ行きも悪く、各社苦労をしているようだ。その苦闘のあとが判る文章が、業界紙の記事や、その社の出版物の「あとがき」や、雑誌の「創刊の辞」などから読める。その実例を掲げて、いったん、この「裏だより」を書いたのだが、結局ボツにした。自社のことをネタにして書くのは勝手だが、他社ネタは、ちょっと気を使う。でも、せっかく書いたんだから、そのサワリを…。
 @売上が大幅にダウンしたため、会社の規模を縮小して再出発をはかる。
 A定価を抑えるため(ページ数を抑えるため)、著者の原稿をかなり圧縮させる。
 B記念論文集の原稿が集まりすぎたため2分冊にし、歴史系だけ出版する。
こんなことを書いたり直したりしているうちに、取次の「鈴木書店」の自己破産のニュースが入ってきた。取次とは、出版社と小売書店を結ぶ卸問屋である。岩田書院は鈴木書店とは取引きしていないので、いまのところ被害はないが、岩田書院の売上高の55%を占める地方小出版流通センターが、鈴木書店と取引きしているので、間接的に影響をこうむるかも知れない。経営基盤の弱い出版社にとっては、深刻な状況である。