No.208  2001年6月

【臨川書店はマクドナルドになれるか 】

 京都の臨川書店が『大乗院寺社雑事記』全12冊を揃定価19000円(1冊あたり1583円)で販売する。この史料集は 日本中世史を研究する上の基本史料である。1冊平均515頁ある。旧定価は揃66000円。なんと旧定価の28%の価格。マクドナルドの平日半額セールの比ではない。上製本を並製本にするとは言っても、中味は同じ。これだったら、私でも、買っておこう、という気になる。
  でも、なんでここまで安くできるんだ?。この秘密(?)、社長さんに聞けば教えてくれるかもしれないのだが、まだ聞いていない。我々専門書の出版社の常識では、本の定価を半額にしても、2倍は売れない、と言われている(だから安くはしない)。半額にして2倍売れれば、総売上は同じになるので、安くしても利益がでる、ということになるのだが…。
  この企画が成功すると、専門書出版の世界にも、デフレの波が押し寄せてくるのだろうか?。そういえば、今年前半の岩田書院の新刊20点のうち、8点が定価3000円以下である。利益率は確実に下がっている。