No.155  2000年1月

【出版助成金の話し(4)】

   文部省の出版助成金申請の窓口が、2000年度分から日本学術振興会に代わった。それにともなって、いくつかの変更があったのだが、そのなかでも大きな変更事項がひとつあった。それは、申請にあたって完成原稿を添えること、という1項である。
 昨年までは、原稿が完成していることが条件ではあったが、原稿を添えなくてもよかった。ということは、原稿が完成していなくても、完成していることにして申請することが可能だったのである。そして、申請が通ってから原稿をあわててつくって、どうにか期限内に刊行するということが、ままあったのである。助成金がもらえないと出版できないという状況のもと、もらえるかどうかわからない段階で完成原稿を揃えるという  ことが難しい、という事情がそこにはあったのである。
 その手合い(?)が多かったのかどうか…、今年度から上記のように変更になった。そのため、目論見がはずれた出版社(小社を含めて)が多かったのではないだろうか。今後は、学位論文を除くと、申請そのものが しにくい状況になってきた。