No.154  1999年11月

【史料を活字化する時の約束事】

  日本歴史』616号(1999.9 吉川弘文館)所収の論文をみていたら、本文中の史料引用中に「*」のマークがついているのが目にとまった。普通、史料中に*印などは付かない。なんじゃこれは?と思ってよくみたら、引用箇所のすぐあとに、「判読不明の箇所(*の記号)があるため…」と説明してあった。しかし一般的には、判読不明や虫食いなどで字が読めない場合は「□」であらわし、字数が判る場合はその字数だけを入れ、字数が判らない場合は「[  ]」と表現しているのである。
 なお、論文などで史料を引用するさいは、読みやすくするため原史料にない読点を補うとか、原則として新字体(常用漢字)にするとか、「己已巳」は手書きの文字では区別できないので、意味によって使い分ける(違いが判りますか)とかのルールがある。
  ところが今回の*印の登場である。こうなると次は、パソコンのアイコン(絵記号)のように、虫食いを示す時には「虫ちゃんマーク」がでてくるかもしれない。