No.119 1998年5月
【校正 覚え書き(3) 和暦と西暦】
 岩田書院の本は、日本史関係の専門書が多い。基本は縦組みである。年号表記の仕方は、以下の4つが考えられる。これに数字表記の違いが加わる(○を使うか、十を使うか。数字の表記については前回参照)。

a-1  和暦○年(西暦○○)○月  b-1  西暦○○年(和暦○)○月
a-2  和暦○(西暦○○)年○月  b-2  西暦○○(和暦○)年○月

小社の基本は a-1 である。a-2 だと「年」が( )で分断されて、次の「○月」のほうに着いて見えるので違和感がある。西暦はあくまでも参考のために付すのであって、西暦○○年の「年」を省略しても差し支えない。西暦を併記する仕方も、すべてに入れる、頁の初出に入れる、章節の初出に入れる、初出のみに入れる、全然入れない、というように、いろいろある。
 前近代を扱う場合は、西暦主体のbの表記では不自然な感じがするし、都合が悪い場合がままある。
 因みに、寛永年間などの場合の西暦表記は、改元年から次の改元年までとする。たとえば大正年間は、大正元年から15年(昭和元年)までの西暦を表記する。大正15年は12月24日まであるわけで、次のような考え、「15年は昭和元年だから 昭和年間に入ってしまうので、大正年間に数えない」は採用しない。
 なお今回出版した『悪党の中世』には、執筆者の年号表記の仕方を尊重したため、前記の4種類の表記がすべてでてきている。どれが読みやすいか、読者の判断を待とう。

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