No.82 1997年5月
【うれしさも中ぐらいの増刷です】
 3月に刊行した『職人ひとつばなし』が発売2か月半で品切れになった。初刷2000部である。増刷するかどうか、迷った。迷ったあげく、500部増刷することにした。なぜ迷ったか、それは定価の安さにある。B6判・上製本・カバー装(4色刷)・300頁で定価1748円。原価計算をしたら、500部増刷して、400部売れて原価回収、とでた。
 この本は愛知県の安城民俗談話会のメンバーが執筆したもので、対象地域は限られている。地元での販売については、談話会のメンバーが全面的に協力してくれて、基本部数を確保してくれた。初刷の部数読みの時には、地元以外での販売部数をあまり見込めないと判断して、2000部としたのだが、新聞(中日新聞・毎日新聞など)や雑誌(サライなど)で紹介してくれたりして、全国的に注文がきた。
 従来、職人の本というと、江戸・京都・金沢などの伝統工芸品を作っている職人さんの本が多かったが、この本はそうではなく、ごく普通の職人さんの話しを、ごく普通の主婦や勤め人が、日常の生活者の目で書いたところが受け入れられたのだろう。
 もう少し最初から強気で部数を決めればよかったな、と今になって思う。
     
  *おかげさまで、増刷した500部も品切れ、3刷りしました。

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