No.77 1997年4月
【岩田書院の本は高いか? その2】
 この裏だよりNo.5で各社の定価を比較して、岩田書院の本の定価が高くはないことを書いた。その時点では[頁×20円]というのが、A5判の専門書の平均定価であったが、ここのところ、それを下回る本を出している。
 その結果、やはり利益率が悪くなってしまった。なまじ「良心的」であろうとして定価を下げても、それに比例して売上げが上がるわけでもないので、経営的には、決していい方向ではない。
 そう思っていたところ、すごい事例におめにかかった。

・古典と民俗学論集―桜井満先生追悼―  A5判  613頁  68000円
・江戸東京の怪談文化の成立と変遷  A5判  590頁  25750円

 『週刊新刊全点案内』1018号(図書館流通センター、1997.3.18)に出ていたのだが、「古典と〜」にいたっては、なんと頁単価111円である。両書とも、売れないと言われる国文学の専門書である。それにしても、この定価づけはすごい。こういう出版社が高値を走ってくれると、われわれは5分の1の定価ですよ、と胸をはって言えるのである。

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