No.64 1996年11月
【岩田書院ブックレット創刊】
 ついに岩田書院も、ブックレットを創刊します。かねてから準備をしていたわけではありません。正直いって岩田書院の趣旨に反します。岩田書院は、定価の高い本を少部数販売して確実に利益を出していこうとしてきました。それが、小出版社の生きる道だと信じてきました。
 しかし、ここのところ定価の安い本をいくつか出しています。これは、大学の教科書に使ってくれるという条件があって、はじめて可能になるのです。売れるかどうか判らない本を大量に作るほど、危険なことはありません。それに較べると、学術書の出版のほうが、確実に原価を回収できるのです。
 そう言いつつ、ブックレットの創刊です。この企画は、原価が回収できればいいと思ってます。だって、計算してみればすぐ判ると思いますが、定価1400円×発行部数1000部×卸売係数0.67=93万8000円、右から左へ全部売れたとして約90万円。そこから製作原価と広告費を差し引いたら、たいして残らないのです。ましてや、半分も売れなかったらどうしよう…。もっと発行部数を増やせばよさそうなもんですが、そう簡単に売れるもんじゃありません。岩田書院の実力では1000部がいいとこでしょう。
 それでも出すか。……。
 まぁ、肩に力をいれずに少しずつ出していきましょう。したがって、刊行のことばのようなものは書きません。そんなに大袈裟にかまえないで、とりあえずは<文書館シリーズ>からスタートします。
     
  *ブックレットの実売部数は500〜600部、やはり発行部数1000部がいいとこなのでしよう。

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