No.17 1994年11月
【書名・装釘・定価】
 本の売れ行きは、これによって、ずいぶん変わってくるようです。10年ぐらい前は専門書といえば、『○○○の研究』というような書名で、ほとんど函に入っていましたが、それでは売れないというので、書名から「研究」という字をはずし、カバー装にして、手にとりやすい本にしようとする傾向になっています。
 小社では、専門書は函に入っていたほうがいい、と思いこんでいまして、ひたすら重厚長大路線(?)をめざしていましたが、今回の『蛇抜・異人・木霊』はそれを変えてカバー装にし、定価も(岩田書院としては)安くしました(400頁で5900円。従来は400頁だと8000円です)。そのため部数も従来の専門書(600〜700部)より多くつくります(1000部)。また当初は『歴史災害と伝承−蛇抜・異人・木霊−』という書名であったものを、サブタイトルを書名にしました。
 歴史・民俗学の研究者だけでなく、もうすこし多くの人に読んでもらいたい(たくさん売れてほしい)という思いなのですが、はたして成功するでしょうか。
 特定少数を読者に想定している時は、定価の高い本を少部数売ればいいのですが、安い本をたくさん売るには、出版社の営業力がものをいいます。でも、岩田書院にはそれがナイない場合は、どうやって売ればいいのでしょうか。
     
  どうも定価の安い本は苦手です。売れるかどうか判らないし、売れてもたいした売上げにならないし、返品もある。それに装丁で頭を悩まして、その割りには、あまりいい装丁にならないし。やはり専門書のほうが、性にあっている。

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